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1.世帯分離を利用する。

同居する家族の収入をもとに計算される介護保険の負担

介護保険は、高齢者の介護を社会で担うために2000年に始まった国の制度で、40歳以上の人が加入して所得に応じた保険料を負担します。

原則的に65歳以上で介護が必要な人が利用できるものですが、40~64歳の人でも加齢が原因で起こる病気(認知症や脳血管疾患、末期がんなど)で介護が必要になった場合は利用可能です。

 

利用できるサービス内容は、どのくらい介護が必要かによって、要支援1~2、要介護1~5の7段階に区分されます。

区分ごとにサービスの利用限度額が決まっており、いちばん少ない要支援1は4万9700円、いちばん多い要介護5は35万8300円となっています。

そして、利用者は実際に利用した介護費用の1割(又は2割)を自己負担します。

ただし、収入が年金だけの人などは1割でも支払うのが厳しいこともあります。

そのため、1ヵ月の自己負担額は収入に応じた限度額が設けられており、それが高額介護サービス費です。

高額介護サービス費の自己負担限度額は、所得に応じて次のように4段階に分かれているます。

たとえば、1ヵ月に利用した介護保険の自己負担額が3万5000円の場合、第4段階の人は還付を受けられないが、第2段階の人の限度額は1万5000円なので、申請すれば差額の2万円を払い戻してもらうことができます。

ここで対象者の条件としてポイントになるのが、「世帯全員が住民税非課税」という点で、同居する家族の収入も合算して計算されるということです。

介護を受けている本人の収入が国民年金の年額78万円だけなら、住民税は非課税です。

この場合、同居の家族がいなければ第2段階になります。

しかし、子どもなどと同居していて、その他の家族に住民税が課税されるだけの収入があると第4段階になります。

介護利用者本人の収入は同じでも、同居する家族の収入によって介護費用が大きく変わってしまいます。

そこで、親の介護費用を節約するために、現実的に行われているのが「世帯分離」という手段です。

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住民票の届け出ひとつで負担が大きく変わる不平等な現実

通常、同じ住所で暮らす家族は、同一の世帯員として住民票に記載されます。

しかし、子どもが結婚して新たに所帯を持ったりして、親世代と家計を分けて暮らすようになった場合などは、同一住所で暮らす家族でも世帯を分けて住民登録することは可能です。

 

では、世帯分離前と介護サービスを受けた場合、負担は、どう変わるのでしょうか。

介護老人保健施設に1ヶ月入所した場合でくらべてみます。

要介護5のA子さんの介護サービス利用料を28万円とした場合、世帯分離前と後でどれだけ負担額が変わるのかを見てみたいと思います。

※介護保険が適用になるのは、施設での介護サービスの利用料(1割が利用者負担)のみです。

要介護5のAさんが、介護老人福祉施設でユニット型個室を利用した場合の、利用料の上限は、28万9,903円です。(厚生労働省・介護報酬の地域レートを10円で計算)

高額介護サービス費

区分負担限度額
一般世帯37,200円
区民税世帯非課税24,600円
区民税世帯非課税(合計所得金額と課税年金収入額の合計額が80万円以下、老齢福祉年金の受給者)15,000円
生活保護受給者等15,000円

利用者負担限度額   ユニット型個室

 

サービスを受けたときの費用 (月の概算)

世帯分離前世帯分離後
サービス利用料(1割)28,000円15,000円
居住費+食費59,100円+41,400円24,600円+11,700円
合計128,500円51,300円

※サービス利用料は利用者負担となる1割を計上、世帯分離後の金額は、高額介護サービス費表に記載しております「区民税世帯非課税(収入80万円以下)」の負担限度額を計上しております。

※住居費+食費は、利用者負担限度額表より参照しております。

 

世帯分離前では各施設との契約により額が変動となるため、基準上限額の1,970円/日、1,380円/日として、その費用の30日分を乗じて計上しております。

世帯分離後は「区民税世帯非課税(収入80万円以下)」の負担限度額の820円/日、390円/日より月額を計算し計上しております。

※プラス日常生活費がおよそ200円(日額)必要です。

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世帯分離のメリット・デメリット

世帯分離によるメリット(負担軽減)

  • 介護サービス利用料(入所施設の食費・居住費含む)
  • 介護保険料窓口負担分
  • 国民健康保険料

国民健康保険料についても、世帯の所得金額が低い場合は、2割~7割の減額制度が適用されるので、負担が軽減する場合があります。

 

世帯分離によるデメリット

  • 国民健康保険料
  • サラリーマンなどの扶養手当(個々のルールによりますが)

介護サービス利用者の所得が高い場合は、世帯主それぞれが国保に加入することになるので、負担増になる場合があります。

 

手続きは、各自治体の「転入転出など住民票の異動に関する届出を担当する窓口」に申し出ることで可能です。

利用する場合は、メリット・デメリットを考えましょう。

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